Full description not available
R**E
秘密とプライバシーは人間の本質
最近、邦訳も出た「監察資本主義」でも取り上げられていた個人データの商業的な利用の問題。そのすさまじさがさらに深堀されているのが、本書。economistのbest book of the yearにも選ばれた作品ということで、ペーパーバックになるのを待って読んでみた。期待して読み始めたのだが、中身はそれほど目新しい話はない。民主主義、個人の自律というのは当たり前の話だが、これをたてに取られて、議論を正面から進められても、どうもしっくりこない。民主主義の形骸化(投票率は30%)は誰の眼にも明らかであり、病的に偏向したメインストリームメディア(新聞やテレヴィ)からのfakeインプットに依拠した個人の即時的な決定がどれほど「自律的」なものかは言うまでもないだろう。最後の「What you can do」部分は若干参考になる。僕は、広告というものが昔から大嫌いで、ましてやpersonalised adなどと言うのは、その言葉自体やそれが画面に出てくることそれ自体に相当な嫌悪感を感じる。cookieやtrackerなるものを最小限にしたいくつかのbrowserや検索サイトなるものの紹介は参考になった。ただかなりの部分は本書を読まずともよく知られている。業者によると、このように個人情報のルーズな利用に規制がかからなかった要因としては、やはり「危機への対応」という名目が大きいと指摘されている。2001年のNY自爆テロに起因する政府のテロ対策そして今回のウイルス危機は、更なる個人情報の収集と一元化のbenefitを求めて、「ゼロリスク」という蜃気楼を目的とする緊急措置が常態化していくというわけだ。世界に「ゼロリスク」と完全なる非脆弱性を求める発想はテクノロジーを駆使する権威主義体制の産婆なのだ。
Trustpilot
3 weeks ago
1 month ago